著書紹介

桝田淳二(35期)

国際弁護士 −アメリカへの逆上陸の軌跡−

日本経済新聞出版社 2,400円+税 2010/8

推薦文
 1992年1月、当時48歳であった桝田は、日本で築いた国際関係を専門とする大手法律事務所の創業者の地位や名声を捨てて単独でニューヨークに法律事務所を開設した。彼をその行動に走らせた原動力は、現状のままでは日本の渉外弁護士(注)は到底欧米の弁護士に太刀打ち出来ないという危惧の念であり、自分自身は米国で多くの経験を積んで、彼等に伍していける弁護士になろうという強い思いからであった。事務所を設けて最初のうちは苦節の連続であった。本書は彼が体験した言葉や習慣の違いによる苦労や日本にいては想像もつかない裁判の実務を丁寧に説明しており、また彼が仕事を進める上で親しくなった世界中の弁護士達とのネットワーク作りの過程も興味深く、今後国際的な司法を目指す者やビジネスマンにとって大いに参考になるであろう。弁護士事務所が軌道に乗り落ち着いた頃、桝田は米国での体験をもとに日本の教育の国際化に力を注ぎ始める。今後日本の若者は英語の力と討議(デベート)の能力を一層向上させなければならないと力説する。2008年東大の経営協議会の委員に選任され、爾来在米知識人として大学教育の国際化や英語教育の充重等について現濱田総長他に助言する立場にある。
 過日武蔵学園の「ムサシ テンプルREDプログラム」の構想が報じられたが、桝田の唱える「英語力と討議能力の充実」は同じ潮流の下にある。
(注)渉外弁護士−−おもに国内、海外を含め企業のM&A、合弁や事業提携、特許係争等を専門とする弁護士で、現在は国際弁護士と呼ばれている。 松田康夫(35期)

中村明一(47期)

倍音― 音・言葉・身体の文化誌

春秋社 1,890円 2010/11/1

 なぜ、ある人の発する声に魅了されるのか。なぜ、言葉で気持ちが伝えられるのか。なぜ、心の底から感動する音楽が存在するのか。実はその根底に『倍音』が存在しているのです。『倍音』は、この現実の世界に満ちています。そして、その音はすべてのものに影響を与えています。人間の脳に対しても影響をあたえています。耳を澄ますことによって非常に深い、広い大きな世界が目の前に現れてきます。音楽を聞いても、街へ出ても、野山に行っても、これまでとは全く違う世界が開けるのです。 『倍音』―それはまさに、現代に残された「秘境」と言ってもよいでしょう。


加藤 勤(64期)

中国語を1週間でいとも簡単に話せるようになる本

明日香出版社 1575円税込 2010/12/20

 本業は書店経営なので、中国語はまったくアマチュアなのですが、学習者の視点から「通じる!」中国語を話す最短距離をご紹介することを目指しました。詳しくは出版社「明日香出版社」のサイトや、e-honのサイトをごらん下さい。


緒方 篤(原案・脚本)(54期)

脇役物語

竹書房 700円税込 2010/10/14

 2010年10月23日公開開始の映画「脇役物語」(Cast me if you can)のノベライズ版です。映画の原案・脚本・監督:緒方篤、主演:益岡徹・永作博美。


高見澤 磨(共著)(51期)

中国にとって法とは何か

岩波書店 本体2600円+税 2010/09


坂戸直行(22期)

明日香を動かした男<

芦書房 本体1500円+税 2010/08


(J.ハミルトン著)佐波正一(訳)(10期)

電気事始め−マイケル・ファラデーの生涯

教文館 本体2500円+税 2010/4/25

本会の大先輩であり、東芝社長などを歴任された10期の佐波正一さんが翻訳出版されたもので、電磁誘導の発見など電気磁気の世界で有名なマイケル・ファラデーの伝記。実験を重んじる科学者としての一途な追及の一生のほか、19世紀のテームズ川の汚染問題などの公害問題にも携わったことや、キリスト者としての生活ぶりなどにも触れたりする内容の興味深さもさることながら、90歳になられたお年で、翻訳という骨身の削るようなお仕事をされておられることは、武蔵卒業生の範であります。本日、御出席頂けなかったことは残念ですが、顧問会などにもよく出席されご指導を頂いてきました。佐波さんは、訳者あとがきの中で、武蔵高校で、玉虫文一先生からファラデーの『蝋燭の科学』を読むように薦められたのが、ファラデーに関心をもつきっかけになったといわれていますが、武蔵の理科教育の良さを思い出させて頂きました。(2010年総会懇親会での挨拶から、吉澤 正 32期)

宮下裕介(58期)

失敗の教科書。

扶桑社 本体1300円+税 2009/11/27

 手塚治虫の失敗、オバマの失敗、安藤忠雄の失敗、ケインズの失敗。偉大な業績を残した人ほど、実は、驚くような失敗をしている。この本では、17人の著名な人たちの驚くような失敗の数々を取り上げました。
 ただし、「失敗の教科書」には、失敗から学んで成功するための方法については、何も書いてありません。つまり、成功しようと強く願っている人が読むと、がっかりする内容なのかも知れません。
 しかし、この本を読むと、成功や失敗という2つの選択肢だけで人生を解釈することが、実は意味のないことだと考え始めるかも知れません。あるいは、世の中で一見すると成功したように思える人を、うらやましいと感じることがなくなるかも知れません。現役の高校生や中学生にも、ぜひ読んでいただければと願っています。(宮下)

泰地増樹(48期)

CMOSアナログ/ディジタルIC設計の基礎

CQ出版社 本体2200円+税 2010/03

 CMOS回路をトランジスタ・レベルから理解したいと考えている方々に向けて、広い範囲で分かりやすい説明をするよう意図しています。


渡辺惣樹(47期)

日本開国−アメリカがペリー艦隊を派遣した本当の理由−

草思社 本体1800円+税 2009/11/25

 帯は、『「捕鯨」はたんなる口実だった! 米側資料を本格的に取り上げ、アメリカの東アジア戦略(対日・対中)の原型を示した新開国史』としてもらってあります。全く違う切り口で日本史の一大事件を描いてみました。武蔵的発想と評価されることを願っています。(渡辺)


島田精一(30期)

仕事に必要な言葉

かんき出版 本体1300円+税 2009/12/8

 彼は「ビジネスは土砂降りの雨の中を歩くようなものだ」という。三井物産時代に赤字部門の再生に取り組んだ折、黒字化が難航して出社拒否になりかけた時に、奥様から「あなたを待っている若い人が可哀相よ。とにかく会社に行ってらっしゃい」と背中を押された。その体験から出た「苦しい時ほど、一歩前に」という「言葉」。メキシコ三井物産副社長時代に詐欺事件の冤罪で、和解金三百億円の支払いを拒否し、195日拘置所に拘留された。その艱難を凌ぐことが出来た友人の励ましの「言葉」・・・。感動的だ。(山本 證 30期)

唐澤俊二郎(22期)

そろそろ全部話しましょう−オーラルヒストリー−

文藝春秋企画出版部 本体1900円+税 2009/06

 この度、元衆議院議員唐澤俊二郎氏(22期)が政治家として活躍されていた時代のいろいろな裏話を含め、オーラルヒストリーと言う対談方式で出版されました。知られざる面白い話が満載です。
 1960年前後は日米摩擦が激しい時代で、当時米国大統領特別補佐官で北東アジア担当だったシグール次官補は、日本の為に色々な配慮をしてくれていた。彼が亡くなった後、シグール夫人が来日された時に、シグール次官補の「追悼会」を、中曽根総理、松永米国大使、と当時JETRO理事長だった畠山襄氏(29期)の3氏が代表となって開催した話も載っています。

衣袋宏美(監修)(53期)

Webアナリスト養成講座

翔泳社 本体3000円+税 2009/7

「WebAnalytics An Hour A Day」という英語のウェブサイトのアクセス解析関係の翻訳本です。全体の監修と、翻訳は後半6割程度担当しました。(衣袋)


衣袋宏美(53期)

ネット視聴率白書 2008-2009

翔泳社 本体5200円+税 2008/08

テレビ視聴率などを含めたメディア・リサーチ全般の解説とインターネット視聴率データの活用方法などの読み物のほか、2000-2007年の8年間の主要インターネットメディアのデータを掲載した資料集からなっています。(衣袋)

大岩 彰(45期)(共著)

きちんとわかる計量標準

白日社 1575円 2007/08

身長1.7m、質量5kg、気温25℃、電圧100V……  どんな計器やものさしではかっても、いつも結果は同じになる。ふだん気がつかないが、日本そして全世界の「計量基準」が専門家によって常に維持・精密化されているからである。そこは、人類最高の計量技術が、縦横に展開される世界だ。


中村明一(47期)

「密息」で身体が変わる

新潮社 1,050円 2006/5/24

 「密息」とは、日本人が古来ごく自然に行っていた呼吸法です。非常に深い呼吸であり、身体は安定性と静かさを保つことができ、精神面では集中力が高まり、同時に自由な解放感を感じます。武術、禅、能、茶の湯、庭…日本文化の原点は『密息』にあったのです。 新潮選書2010年日本論部門第2位となった話題の本。