小池東京都知事の公約「満員電車ゼロ」の元ネタとなった9年前の旧著の改訂版です。鉄道の輸送力増強と、それを実行する資金調達の方法をまとめてあります。2階建て電車とせずとも、運行効率を高めることで現行の1.5〜3倍の運行本数とできます。運賃を値下げして立席限定とし、着席は1分当りピーク10円、昼2円程度の割増料金とすれば、東京圏で年6000億円程度の増収となり、研究開発・設備投資・運営費増の経費を賄えます。 本書を読めば、利用者・鉄道会社・社会の全てにメリットがあることをご理解願えるはずです。物事を理知的に判断できる武蔵OBの皆様、非人間的な満員電車をなくし、東京の競争力を強め、社会の生産性を高められるよう、この本を広めて下さい。(阿部)
サブタイトルの通り、戦争遂行と食糧確保の問題を史料から実証的に論じた労作である。タイトルの「食糧も大丈夫也」は開戦直前の閣議で企画院総裁鈴木貞一が述べた言葉。戦争は膨大な政策課題の決断の集合体であるが、昭和14年の大干ばつで意識された南方米が南進論、仏印進駐の遠因となったとの指摘は興味深い。大日本帝国は、ほぼ開戦前の予想通りのタイミングで制海権を失い、最後は深刻な食糧不足の危機に直面して御聖断に至った。「食糧不足も終戦決断の一因」だったとは、著者尊父(陸士54期)の指摘だそうである。
本書は、学校の教育現場の最前線に立つ先生方の実務対応の一つの手がかりとなるように、具体的な事例に基づいて、「事故の前後でどこまでの対応が求められるのか」という視点でまとめたものです。(内野)
祖父江昭二氏(21期、1927〜2012)が生前に構想していた四番目の作品集の目次メモを元に作成された、プロレタリア文学評論集。
1913 年に上梓されたD.H.ロレンスの自伝的小説。1992年ケンブリッジ版を底本とした初翻訳。
ご紹介が遅れてしまいましたが、2年前に著書を出版していました。過去、正田良先生編著の書物の一部を書かせていただいたことはありましたが、私の単著としては初めてのものです。ありがたいことに、今でも書店店頭に置いていただいています。 高校生が「数学」だと思っているものと、大学生が直面する科目「数学」、そしてプロの数学者にとっての「数学」には、かなり違いがあります。そのギャップをなんとか埋めようと試みた本です。大学入試問題を題材として、その背景にある「数学者が考えていること」「大切だと思っていること」を紹介しました。私自身はプロの数学者ではありませんが、数学を伝える、紹介する、ということはできるのでは……と考え、約2年、がんばりました。 武蔵での思い出を書けた部分はほんの少しですが、執筆中幾度となく、ああ自分は武蔵で数学を教わったのだなあ……と実感しました。ほんとうにラッキーなことでした。(松野)
皆さんは、地球温暖化の原因、つまりCO2増加の原因は何かと聞かれたら、どう答えますか?化石燃料の大量使用?それは答えの一つに過ぎません。CO2は地球史全体として見ると、火山活動、岩石の風化、地殻変動などの様々な要因により変動してきました。 本書は、現在や未来では無く「過去」の地球温暖化を、現代から”逆算”して計算するという、日本ではあまり知られていないユニークな数値シミュレーションを紹介しています(柏木)。
「気象病」には、花粉症やインフルエンザの他、腰痛・関節痛、片頭痛などの慢性的な疾患や、生命にかかわる脳卒中や心臓病、ぜん息など、たくさんの病気があります。昨今の地球温暖化に伴い、気候変動が激しくなってきたので、われわれは、気象変化に関わる「気象病」予防について、真剣に取り組んだほうがよいかもしれません。本書は、脳卒中・脳神経外科専門医と気象予報士のダブルの資格を持つ現役の臨床医が、気象病が起きやすい気象変化や、気象病予防のための天気予報の見方などを、医学論文を根拠として科学的に考察し、気象病の医学的予防法を伝授する内容となっています。(福永)
浪速少年院初代院長小川恂臧氏と日本社会事業大学名誉教授小川政晃氏(11期)の自伝。
世界経済が20世紀末葉までのマルチラテラリズム、グローバリズムを中心とした体制から、特に今世紀に入って、バイラテラリズム、リージョナリズムに軸足を置いた経済統合へ急速に変革していく姿を、わが国を含むアジア太平洋の主要国の動きから跡づけ、筆者がその一部にささやかに係わりり合った経験をご紹介するとともに、これらの動きの将来について若干の展望を試みた。
音楽業界の業界紙「ミュージック・リポート」に「あの日、あの頃」と題して2011年2月から2013年10月迄96回連載しました。業界を引退した記念にその中から抜粋して本にしました。(佐藤 修)
中・時代からジャズとサッカーに打ち込んでいた佐藤修が、日本ビクターをスタートしてポニーキャニオン社長にいたる音楽業界での仕事の流儀を面白く、時にシリアスに語っている。その行動力、洞察力、人間的魅力……。OBの口出しは彼の面倒がるところ(彼が中高サッカー部の現役時代、口やかましいOBだったらしい)多言は止めて…… 面白いです。一読をお勧めします。(伊藤誠一・29期)