著書紹介
【著書紹介】59期 原 基晶 氏著「ダンテ論:『神曲』と「個人」の出現」
2022.02.17
原 基晶 氏(59期)
本書は、ダンテ『神曲』の個人全訳者による畢生のダンテ論である。これまで『神曲』は国民国家イタリアを予言した叙事詩として、ダンテはイタリア国民の父として、ナショナリズムから理解されてきた。本書はしかし、歴史学や文献学の成果をふまえてこのような神話を退け、14世紀の自然哲学や商業革命の文脈のなかで『神曲』を読み解いていく。そして、現実世界の中で「個人」の出現を予見し、個人が世界と調和して生きるための平和という理念を見出したダンテの試みを明らかにすることで、世界文学の代表としての「神曲」が持つ現在性を描き出している。本書は、世界へと参加する文学の可能性を宣言している。(59期 原 基晶)
青土社 2021年11月26日発行 3,960円(税込) 単行本 353ページ
ISBNコード978-4-7917-7385-5
(2022/2/17掲載)